赤眼の将

今回の作品。制作のきっかけは単純なものだった。
私の生まれ育った街、兵庫県姫路市。
そして今も私はこの地で創作をしている。

その今に残る姫路を、戦国時代に必死に姫路を始め播磨の地を守った人物がいた事を私は知ってしまった。

「黒田官兵衛」

華やかな歴史上の天下人とは違い、
あくまで数多くいる軍師の一人という比較的に華やかさの無い地味な陰の男に
単純に興味を抱いたのがきっかけだ。

今で言う組織の中間管理職、または企業の経営者に進言し陰で支えるコンサルタントの様に思えた。
戦国の世を彩った豊臣秀吉の影で、彼を天下人まで育て上げ、支えた人物の想いや気持ちに共鳴したいと思った。
かの天下人も孤独や裏切りへの不安や恐怖にさいなまれる事もあっただろう。
そんな彼に常に近くで寄り添いながらも、一番の不遇を受けた人物の気持ちを察すると感性が刺激された。
官兵衛自身も不安や葛藤を激しい情熱や忠誠心で押し殺しながら生きていたのではないか?
絶望や緊張が取り巻く殺伐とした時代を生き抜く中で、
一筋の光を見出し邁進するしかなかったであろう姿を想像した時、イメージは固まり描こうと決めた。
今回創作するにあたって、
冷静さと情熱、その二面性を兼ね備えて初めて一人の黒田官兵衛という人物だと考え魅力を感じた。
影の存在である軍師という立場の彼を、せめて私が描く世界の中だけでも華やかな光のある人物に表現したかった。

秀吉を天下人にまでした天才軍師としての冷静さ、その一方で一人の武将として自身も天下を目論んだ内に秘めた情熱的野心。
その狭間での葛藤や苦悩をも凌駕した先にある「凄み」

その内面から出てくる「凄み」というのもを表現したく創作した。

現代社会においても、孤独や不安の中で生きる経営者、サラリーマン、主婦の方も多くいるだろう。
私もその一人だが、本作がそいった一人で迷い、悩み、落ち込んでる一人でも多くの方々の少しでも励みになれれば幸だ。
描いていて、私自身が真っ先に彼の力強い眼差しに吸い込まれ、励まされた様な不思議な感覚になった。

赤眼の将のメイキング・プロセス

寺本和純